印象記
日本皮膚科学会第19回中部連合地方会
藤浪 得二
1
1大阪大学医学部皮膚科
pp.100-103
発行日 1969年1月1日
Published Date 1969/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200457
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第4回電顕研究会
前夜祭ともいうべき第4回電顕研究会は10月11日(金)金沢市セントラルホテルにて開催された。32の演題が発表され,討論は活発であり,いずれも鮮明な写真が供覧されて内容の充実とともに電顕技術の進歩には深い感銘を受けた。
〔一般演題〕については安部ら(国立がんセンター)はCealterの発表したEpoxi埋包における迅速浸透法について新装置を試作し,Epoxi樹脂の浸透の優れていることを鮮明な写真で示した。ビタミンAのkeratinocyteにおよぼす作用については相模ら(阪大),上田ら(京府医大)はそれぞれ鶏胎仔皮膚,14週人胎児皮膚を材料として観察,ビタミンAはtonofibrilの形成不全,desmosomeの減少をきたすとのべた。河村ら(京大)は硝酸ランタンが表皮細胞間隙を特異的に染色することをしめし,森田(天理)は落葉性天庖瘡における水庖発生はdesmosomeに付着するtonofilamentにまず変化を生ずることによるとかんがえ,水野(名市大)はmethoxypsoralenを海猽腹腔内に投与後,紫外線照射を施した場合のkeratinocyteの核小体の変化についてのべた。荒井ら(金沢大)は種々の異常角化細胞の美麗な電顕写真を示し,水野(房)ら(東京医歯大)はBowen病について分裂像をしめす不全角化細胞内にdesmosomeがとりこまれたとかんがえられる所見をしめした。また田端ら(阪大)はBowen病の表皮真皮接合部について有棘細胞癌のそれと比較考察した。汗腺周囲の毛細血管の微細構造については白井ら(奈良医大),内皮細胞分裂像については橋本教授(昭和大)からの報告があつた。
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