教室紹介
京都大学/奈良県立医科大学
山田 瑞穂
pp.200-201
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200291
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明治32年京都帝国大学に医科大学が創設されて間もなく,外科の猪子教授が兼担されていたが,同36年に松浦有志太郎先生が初代教授として就任され,我々の教室が誕生した。松浦先生は日本住血吸虫病の皮膚よりの感染,正円形粃糠疹などを手がけられ,皮膚病治療薬ピチロールを創製された。大正8年第二代教授に松本信一先生が就任され,皮膚科紀要,皮膚病図説,ルエスを刊行せられ,先生の実験梅毒,実験スピロヘトージスに関する御研究は世界的に有名で,その他に臨床面でのお仕事も多いが,前癌症に関する御研究はその代表的なものの1つである。これらの松本先生の御功績に対して,野口賞,シャウディンホフマンプラケットが贈られ,昭和41年文化功労者として顕賞せられた。昭和19年第三代教授に山本俊平先生が就任せられ,早くから皮膚病と全身状態との関連に着目されて,これを追求された。昭和37年第四代教室主任として現太藤重夫教授が就任された。以来5年余,現在教室における研究は主に細菌,真菌アレルギー,接触型アレルギー,薬疹の病理の解明に向けられ,これに螢光抗体法,電子顕微鏡,組織培養などが駆使されており,アトピー皮膚炎,毛嚢性湿疹,夏季に増悪する紅斑などについての臨床的研究も行なわれている。また,池田助教授の円形脱毛症の臨床的ならびに発生病理に関する研究は国際的に注目され,現在は梅毒の新しい血清反応に取り組んでおり,山田は皮膚ならびに白血球の蛋白分解酵素の組織化学的研究,薬疹の研究に,早川は腫瘍の細胞学的研究および軟レントゲン線による治療に従事し,一方形成グループは植皮術,肥厚性瘢痕の治療に工夫をこらしている。
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