Japanese
English
検査法
梅毒血清反応
SERODIAGNOSIS OF SYPHILIS
皆見 紀久男
1
Kikuo MINAMI
1
1鹿児島大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Kagoshima University
pp.1179-1187
発行日 1967年11月1日
Published Date 1967/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200242
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I.はじめに
梅毒に対する恐怖は昔も今も変りない。そして人々は血清反応を行つては安どの胸をおろすのである。一方梅毒にかかつて血清反応が陽性となり,いくら治療しても陰転せずに,ついにはノイローゼとなり,頭がバカになると本気で心配している哀れな人々も相当数にあると思う。しかしながらわれわれ医者はこの血清反応を唯一の診断根拠として患者の体内に薬剤を注入し痛めつけている。しかしなぜ牛心リポイド抗原が梅毒に陽性にでてくるのかが現在でもはつきりと解明されていない。さらにこのリポイド抗原によつて生物学的偽陽性反応(非特異的反応)が出ることが問題となり,特異的反応といえるトレポネーマを使用した反応が進歩してきた。
とくに最近は新鮮梅毒の増加が目立つてきたため,梅毒血清反応の行われる率も増加し,大きな社会問題となつている。血清反応はトレポネーマ自体に対する抗体を検出するトレポネーマを抗原とする反応と,患者自身の組織とトレポネーマとの反応から生ずる抗体(ワッセルマン抗体あるいはレアギンとよばれる)を検出するための非トレポネーマ抗原,すなわち脂質抗原による反応の2つに分けられる。
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