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昭和25年4月札幌医科大学創立と同時に小室秀一郎教授が初代皮膚泌尿器科教授として就任いたしました。翌年小室教授が東京に行かれた後直ちに外塚岩太郎教授を向えましたが,30年9月脳溢血のため死亡されました。その後は高井修道教授が東大泌尿器科より31年9月着任され約8年間皮膚泌尿器科教授としてその任に当られてまいりましたが,皮膚科は主として神村助教授が担当されてき上ました。39年4月皮膚泌尿器科学教室が分離して皮膚科がようやく泌尿器科の傘下より抜けることが出来,8月に東大より久木田教授を迎えてここに新しい皮膚科学教室の容貌が整ったわけであります。その当時医局員はわずか7名にすぎませんでした。まず新設と同時に重点的に行つたのは研究室の整備で,それまで皮膚科は研究器具としての目ぼしい器械は何一つ持ちあわせていなかつたからです。しかしこの面では特殊な手腕をもつ久木田教授は新設費の他に研究費及び実験器械をアメリカより絶大な援助を仰ぎ,全く見ちがえるような充実した研究室を作りあげてしまいました。この設備をいかに使いこなすかにおいてはさいわいにも41年に4人の入局があり,研究を推進する体制が漸く出来上つたのであります。
研究内容を招介しますと,まず久木田教授の専問とするメラノサイトを中心とした皮膚組織化学的研究,皮膚組織主としてメラノサイト及び毛細血管の電顕的研究,放射性同位元素C14を使用しての皮膚吸収の研究,その他神村助教授が長年やられている皮膚未梢循環の研究がその主なものであります。教授が幾多の業績を残している皮膚組織化学的研究と皮膚吸収の研究は問題ないとして,電顕的研究は初歩からのもので非常な努力と多くの研究費をこれにつぎこんだ結果,わずか半年ながらなんとか恥かしくない写真も出来るやうになりました。しかしダイヤモンドナイフはいまだ使用出来る域に達せず,金庫の中にねむつております。
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