海外見聞記
第25回American Academy of Dermatology
大城戸 宗男
1
1慶大皮膚科
pp.202-203
発行日 1967年2月1日
Published Date 1967/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200105
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引退後はFloridaかCaliforniaの海岸沿いに,広い芝生のある南国風の白い小さな家を建て,夫婦水入らずで快適な気候を楽しみ,感謝祭とクリスマスの休暇には子供,孫達の訪門を待つと云うのが,ある人達の理想だそうで,そう思つて見ると雑誌・テレビには分譲土地・住宅の広告が氾濫している。スモッグ,騒音,厳しい冬に加えて,日常の競走が激しい国で一年中jet機の様に動きまわつて寿命を擦減らしていれば誰でも考えるらしく,近年引退された高名な某皮膚科教授が学会毎に日焼けした顔で表われるので,皆から羨しがられている。本学会場のHotel AmericanaのあるMiamiBeachは同じFloridaでも,のんびりした生活にはほど遠く,豪華なhotelやmotelが延々と何マイルも続き,軒並みにあるnight clubでは朝5時頃迄,騒ぎまわる人種にあふれ,タクシーの運転手はポン引きに早変りすると云う俗化した観光地である。
学会は例年の通り,初め2日間はspecial courseと称し,7つの会場で細分化の著しい皮膚科の各専門領域に関し,門外漢にも最近の進歩が理解できる様に,その歴史,基礎から紹介される会である。電顕と組織化学の発展につれ,subcellularunitの形態学が生化学と結び付く傾向は,6月のSociety for Inve-stigative Dermatologyの印象記で報告したが,このspecial courseでは2会場がそれを主題とするに至つた。表皮・真皮・付属器の微細構造及びそこでの代謝に関する会場や皮膚生化学の会場は目新らしさも手伝つてか超満員となつた。
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