Derm.2014
皮膚外科は難しい?
藤澤 康弘
1
1筑波大学医学医療系皮膚科
pp.26
発行日 2014年4月10日
Published Date 2014/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103997
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皮膚腫瘍は増加する一方であり皮膚腫瘍を扱える皮膚外科医の需要は高まると思われるが,残念なことに志す若手医師は減っているように感じる.皮膚外科が敬遠される大きな理由の1つに,「皮膚外科は難しそう」という先入観があるように思える.私は国立がんセンター中央病院皮膚科で研修する機会を頂いたが,そこで学んだ重要なことの1つは皮膚腫瘍の大部分は切除+単純縫縮ないしは植皮というごく基本的な手術手技で治療ができるということである.ところが,学会では非常に高度な手術手技を用いた症例の発表が目立つ.確かに,「単純縫縮した……の10例」などで学会発表するわけにもいかないため,そのような難しい発表が多くなるのは致し方ない部分もあるが,それがあたかもそのような難しい手術が皮膚外科では標準であるかのような誤ったメッセージを発信しているかもしれない.
普段私は大学病院で勤務しているが,外勤先の病院でも手術を行っている.全身麻酔の必要な症例は大学病院へ連れて帰るが,そのようなことは年に数件であり大多数の症例は局所麻酔下の切除+単純縫縮ないしは植皮で治療している.よく英会話は難しいといわれるが,実際には中学英語ができればほとんど日常生活には困らないらしい.まさに皮膚外科もそのような感じで,基本的な手技ができればほとんど困らない.あくまで私見であるが,適切な施設と指導者のもとで1年も指導を受ければ市中病院で十分やっていけるレベルの技術は習得可能であると思っている.きちんと基本ができていれば,より高度な手術手技は努力と機会,そして勇気があればどんどん習得できる.
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