Japanese
English
症例報告
Alternaria alternata感染による深在性皮膚真菌症の1例
A case of deep cutaneous infection by Alternaria alternata
柴 景子
1
,
大口 由香
1
,
青柳 哲
1
,
氏家 英之
1
,
西谷 道子
2
,
鎗田 響子
3
,
亀井 克彦
3
,
清水 宏
1
Keiko SHIBA
1
,
Yuka OHGUCHI
1
,
Satoru AOYAGI
1
,
Hideyuki UJIIE
1
,
Michiko NISHIYA
2
,
Kyouko YARITA
3
,
Kastuhiko KAMEI
3
,
Hiroshi SHIMIZU
1
1北海道大学大学院医学研究科皮膚科学分野
2西谷皮膚科クリニック
3千葉大学真菌医学研究センター臨床感染症分野
1Department of Dermatology, Hokkaido University Graduate School of Medicine, Sapporo, Japan
2Nishiya Skin Clinic, Sapporo, Japan
3Division of Clinical Reserch, Medical Mycology Reserch Center, Chiba University, Chiba, Japan
キーワード:
皮膚アルテルナリア症
,
黒色菌糸症
,
イトラコナゾール内服
Keyword:
皮膚アルテルナリア症
,
黒色菌糸症
,
イトラコナゾール内服
pp.355-359
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103947
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要約 79歳,男性.約15年前より両上肢,手背に掻痒を伴う紅斑,乳頭状結節が出現した.ステロイド剤を外用したが改善しないため,紹介され受診した.右手背から前腕伸側に表面凹凸,虫食い状の硬い紅色局面を認め,乳頭状に隆起した小結節が多発していた.左前腕伸側に落屑を付着する紅斑を認めた.血中β-Dグルカンは,546.6pg/mlと高値であった.右手背の乳頭状結節および右前腕の局面の2か所から生検し,真皮内に肉芽腫および多数の細胞浸潤を認め,Grocott染色陽性の菌糸を多数認めた.同部位の真菌培養では,灰黒色のコロニーを形成し,スライド培養では洋梨状で石垣状の多細胞からなる分生子が確認された.菌学的性状および遺伝子解析によりAlternaria alternataと同定し,深在性皮膚アルテルナリア症と診断した.イトラコナゾール200mg/日の内服を開始し,約半年で皮疹はほぼ平坦化した.自験例では,免疫不全を引き起こす合併症はないが,不適切なステロイド剤の長期外用により深在性皮膚真菌症の症状が遷延,増悪したと考えられた.
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