- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
平成4年(1992年)から務めさせていただいた編集委員を辞めることになりました.
読者の暖かい声援,編集委員諸氏の厳しい(?)励まし,出版社の方々の強いサポートで,21年間,編集の仕事を無事やりおおせました.当時の編集委員は4人で,私を入れて西川武二先生(慶應義塾大学),新村眞人先生(東京慈恵会医科大学),田上八朗先生(東北大学)の4人でした.私は前任の石川英一先生(群馬大学)の後を次いで,編集委員になりました.編集会議で集まると,まず,ひとしきり病気の話.「痛風が出て痛い」「虫歯の治療に行かねば」などなど.私は当時一番若かったものですから,病気もなくその話題には入っていけませんでした.で,ひとしきり病気自慢が終わった後,和気あいあいとした雰囲気のなかで査読したものでした.平成16年(2004年)からは,編集委員6人体制で査読しています.編集室の一番の心配は投稿される論文数ですが,幸いなことに,投稿論文数は安定しています.今も,編集会議の雰囲気は,昔と変わらずワイワイと言いながら作業をしています.でも,皆さん健康そのもので,病気の話は出ません.さて,21年の間を通じて感じることは,文章の稚拙な論文が増えたことです.簡単に言うと,独りよがりですね.著者はよくわかっている内容だと思いますが,編集委員が読むと文法的にも科学的にも文意がいまいち通じない.ひとつには,新研修医制度が始まり,大学医局に在籍しなくても専門医が取れるようになったため,医局にいれば得られた耳学問的な知識が入らなくなったのかもしれません.最近の大学生は本を読まないようですが,それも影響しているのかもしれません.また指導医による論文の推敲が十分でないケースも考えられますが,どうでしょうか? というわけで,投稿論文にさまざまなコメント,書き込みをさせていただきました.勝手なことばかり申し上げたかと反省していますが,これも若い人には「科学的記載とは何ぞや」を理解していただきたかったからです.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.