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1998年10月14日から18目まで,中国・北京にて第5回アジア皮膚科学会(Asian Derma—tological Congress;ADC)が開催された.学会会場は北京市中心から北へ約10キロ離れた北京国際会議場(Beijing interna—tional Convention Center)にあり,すぐ隣に1990年,北京で第11回アジア競技大会が開催された時にオープンしたホテル,「五洲大酒店」(Beijing continentalgrand hotel)がある(余談であるが,中国では“五洲四海”で世界を表し,アジア,アフリカ,ラテンアメリカ,欧州,オーストラリア,さらに太平洋,インド洋,大西洋,北極海である).開催時期の10月は北京の最も良い季節として知られており,気温は摂氏15〜18度,朝晩の冷え込みはあるが,日中は暖かく,日本との差をあまり感じさせないほどであった.前日まで雨模様であったが,会期中は晴天に恵まれた.しかし,かつての雲一つない秋の美しい青空は現代化の波にのまれ,光化学スモッグのため,空には昔の抜けるような青さはなく,いつもかすんでいて,喉がやられることさえあるのがとても残念であった.
本学会の会頭は陳洪鐸教授(中国医科大学),事務局長朱学駿教授(北京医科大学),参加者はアジア皮膚科学会に所属する各国に加えてイギリス,アメリカ,エジプト,オーストリア,イエーメン,イラン,パキスタン,エストニア,ポーランド,フランス,スイス,カナダ,イタリアと,東西22か国,約1,300人の盛大な学会であった.主催者側の中国は約700人,会議の半数を越える参加ぶりであり,日本からの参加は約40名ほどであった.演題数はAvery Chal1講演(ロンドン大学,Hav教授)をはじめとする招待講演25題,スポンサー・シンポジウム6題,ワークショップ17題の中に選択された口演179題,およびポスター202題であった。会場はメインホール1か所の他,9つの分会場に分かれ,質疑応答が活発になされた.アジア皮膚科学会とはいえ,欧米からも著名な先生方が参加して,各国のderma—tologistが一堂に集まり,研究,治療などの最新情報を交換し,幅広く交流ができた.日本から東京逓信病院院長石橋先生がTacro—limus:as a topical therapeuticagent for atopic derinatitis,慈恵医大新村教授がneurofibro—matosis,慶応大西川教授がIgApemphigus,阪大吉川教授がapplication of cultured humiankeratinocytes sheet for woundrepair,東大玉置教授がLanger—hans cell related diseaseの題で講演された.西川教授のパワーポイントで作られた主催国・中国の国旗色—赤をバック,黄色をフレームにしたスライドは会場でひときわ鮮やかさを増していた.また,あの有名なJablonska先生にお目にかかり,やや癖のある英語で座長をしながら,演者に質問されていたのが大変印象的であり,懇親会ではエストニアの若い皮膚科の女医さんと話す機会を得たのも貴重な経験であった.
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