Japanese
English
症例報告
未治療の重症糖尿病に合併した巨大癰の1例
A case of huge carbuncle in a patient with untreated diabetes mellitus
川田 裕味子
1
,
西岡 美南
1
,
瀬戸 英伸
1
,
坂東 弘教
2
,
陳 慶祥
2
,
岩井 泰博
3
Yumiko KAWATA
1
,
Mina NISHIOKA
1
,
Hidenobu SETO
1
,
Hironori BANDO
2
,
Keisho CHIN
2
,
Yasuhiro IWAI
3
1愛仁会高槻病院皮膚科
2愛仁会高槻病院糖代謝内分泌内科
3愛仁会高槻病院病理部
1Division of Dermatology, Takatsuki General Hospital, Takatsuki, Japan
2Division of Endocrinology and Metabolism, Takatsuki General Hospital, Takatsuki, Japan
3Division of Pathology, Takatsuki General Hospital, Takatsuki, Japan
キーワード:
癰
,
糖尿病
,
VAC療法
Keyword:
癰
,
糖尿病
,
VAC療法
pp.809-812
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103769
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要約 62歳,女性.背部に径3cmほどの有痛性皮疹が出現した.増大し38℃台の発熱も出現したため当科を受診した.背部中央に,膿栓を多数伴う15×16cm大のドーム状に隆起した暗紅色の隆起性局面を認め,癰と診断した.当科受診まで糖尿病治療歴はなかったが,血糖495mg/dl,HbA1c 13.8%と重症の糖尿病を発症していることが判明した.切開排膿,抗生剤投与,厳重な血糖コントロールを行い,約2週間で炎症は消退した.炎症消退後は広範囲に皮下組織の壊死が残存し,デブリードマン後に巨大な皮下のポケットが出現した.1か月間VAC療法を行い,ポケットは閉鎖した.保存的治療のみで最終的な創の閉鎖状態は整容面で患者の満足度が高いものであった.巨大癰では,早期に広範囲の皮膚を切除して植皮を行うことがある.しかし,整容面を考慮すると,皮膚の切除は最小限にし,皮下の壊死組織を除去した後にVAC療法などを併用する保存的治療も選択肢であると考えた.
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