Japanese
English
症例報告
糖尿病患者に生じたStaphylococcus haemolyticusによる癰の1例
A case of carbuncle caused by Staphylococcus haemolyticus in a patient with diabetes mellitus
石田 正
1
,
平原 和久
1
,
福田 知雄
1
,
早川 和人
1
Tadashi ISHIDA
1
,
Kazuhisa HIRAHARA
1
,
Tomoo FUKUDA
1
,
Kazuhito HAYAKAWA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology,Kyorin University School of Medicine,Mitaka,Japan
キーワード:
癰(カルブンケル)
,
Staphylooccus haemolyticus
,
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)
,
糖尿病
Keyword:
癰(カルブンケル)
,
Staphylooccus haemolyticus
,
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)
,
糖尿病
pp.767-770
発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102409
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要約 67歳,男性.コントロール不良の糖尿病があった.1か月前より上背部に皮疹が出現し無治療で放置していたが,増大し発熱を伴ったため,当科に入院した.膿栓を多数伴う径13×10cmの紅色隆起局面を認め,癰と診断した.切開排膿,デブリドマンを施行した後,CEZ4g/日,インスリンの投与により約1か月で軽快した.細菌培養ではコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)の1種であるStaphylococcus haemolyticusが膿汁から2+,デブリドマンで得られた病変部の組織から3+分離された.ほかの菌は嫌気培養も含め検出されず,本菌が癰の原因と考えられた.本来弱毒菌である本菌が病原性を発揮した原因として,コントロール不良の糖尿病(HbA1c11.9%),低栄養状態(Alb2.1g/dl)の関与が推測された.CNSが病変部から検出された場合,弱毒菌として一概に軽視するのではなく,菌量,混合感染の有無,臨床症状を参考にして,症例ごとにその臨床的意義を検討する必要があると思われた.
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