Japanese
English
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脾脱疽癰の1例
A CASE OF ANTHRAX-CARBUNELE
田辺 泰民
1
,
平山 多秋
1
Yasutami TANABE
1
,
Masaaki HIRAYAMA
1
1広島大学医学部皮泌科
1Dept. of Dermatology and Urology, Hiroshima University, School of Medicine
pp.815-817
発行日 1961年9月1日
Published Date 1961/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203136
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I.緒言
脾脱疸菌は1849年Pollender或は1850年Da-vaineにより発見されたと云われ,これを病原的に明らかにしたのは1877年Kochで彼はこの細菌をBacillus anthracisと命名した。
本菌によつて起される脾脱疸病は本来,草食動物即ち牛,馬,羊を主とする家畜を冒す急性伝染病であるが,肉食動物,犬,猫等は本菌に対し比較的抵抗が強いと云われ,鳥類,爬虫類,魚類,昆虫は普通免疫性を有しているが本病の媒介としての報告はみられている。人間には比較的少いが家畜に接する人,肉類,皮革,毛,骨等を取扱う人にみられ,世界共通に存し,古くは欧米では屡々流行性に発生し,1857年Brauellが人血中に証明して以来,多数の報告がみられ,我国に於ても常在地として殆んど全国に散見されており,1899年篠尾・平野によつて初めて報告されている。その後昭和の初め頃には多数の発病者があつたが,近時,本症を見ることは極めて少なくなつた。最近我々の教室に於てその正例を経験したので茲に報告する。
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