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皮膚科医になってから10年以上が経ちましたが,ほとんどの時間を大学病院で過ごしてきました.私は,現在の臨床研修制度が開始される2年前に大学を卒業しましたので,直接皮膚科医になりました.しかし,私が入局した1年後から,当科は数年間入局者がいないという状態になり,入局後5年間は一番下の学年のままでした.その後,久々の新人が入ってきたとき,長年の下積み生活に慣れてしまっていた私は,どのように後輩に接して,どのように指導したらいいのかということが全くわかりませんでした.ちょっとした雑用でも,自分でやってしまったほうが早いものですから,つい後輩に任せずにさっさと自分で片付けてしまうということがよくありました.大学病院で働いているものとしては,後輩たちを指導し,彼らが一人前の皮膚科医(私自身が一人前なのかはわかりませんが…)になっていくお手伝いをしなければならないというのに,それができない自分に不甲斐なさを感じていました.そんな私が思いがけず,いくつかある病棟診療チームのうちの1つの班長になることになりました.班長になってから,急に,自分のなかでいろいろと後輩に仕事をまかせてみようという思いが強くなりました.責任は自分がとればいいのだから,まず後輩たちに好きにやらせてみようと考えるようになったのです.それからは,後輩たちに診療に関する一定の方向性を示した上で,できるだけ自分は仕事に口をはさまないようにしながら,各々が自分なりに考えて日々の診療にあたってもらうようにしています.自由に仕事をしてもらうことで,班のメンバーたちと気がねなく会話をかわすことができますので,自分とは違う視点からの質問や意見をもらったりすると,それが自分の勉強にもなっていると感じます.これからも後輩たちとともに,皮膚科医として互いに成長していくことができればいいなと思っています.
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