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Overview
哺乳動物の免疫は,大きく分けると自然免疫(innate immunity)と獲得免疫(adaptive immunity)とに分かれる.自然免疫は,マクロファージ,好中球,樹状細胞が中心となり,細菌などの外来抗原が生体内に侵入したとき最前線での最初の防御機構である.それに対し,獲得免疫はリンパ球が中心となって遺伝子再構成という方法をとり,様々な外来抗原認識を行い,抗体産生などを経て生体の防御機能をつかさどる.この獲得免疫の作動には,ある程度の時間を必要とする.それまでの間,外来抗原侵入直後の迅速な防御に自然免疫が大きな役割を果たしている.自然免疫の迅速な外来抗原認識には,マクロファージなどの表面に存在する病原体分子パターン認識受容体(pattern-recognition receptor;PRR)が重要であると考えられている.1997年,ショウジョウバエに存在する病原体認識分子Tollと相同性を持つレセプターがヒトに発見され1),Toll-like receptor(TLR)と命名された.TLRにはいくつかの種類があり,それぞれ認識する抗原の異なることが知られている.病原体がTLRに認識されることにより,マクロファージなどの抗原提示細胞が活性化されるだけではなく,サイトカインなどの産生を誘導し,獲得免疫系も賦活化される.そのため,TLRは病原体の初期認識だけではなく,次のステップである獲得免疫への橋渡しとしても重要な役割を果たしている.
TLRは何を認識しているのか?
ヒトにおいては現在まで9種類のTLRが報告されている(表1).全てのTLRは,病原体認識に関わる細胞外ドメインがleucine-rich repeats(LRRs)で構築され,細胞内がtoll/IL-1R(TIR)で構築されているという点で共通の構造を持つ.また,ほとんどのTLRでMyD88などの共通の細胞内のadapter proteinを持つ.以下に主なTLRの特徴を述べる.
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