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一般的な表現かどうかは定かではありませんが,医局長,病棟医長,外来医長は三役と言われることがあるようです.いわゆる中間管理職です.諸事情も相まって,当科では5年前からT先生とN先生と私の3人でこの三役を担当し,2年ずつ順繰りで交替しています.私の場合はまず病棟医長,外来医長に就き,それぞれで診療+αの大変貴重な経験ができました.既定路線で2011年度からは医局長を任命されましたが,雑用の多さもさることながら,人事業務の重み付けが強く,はたして私に勤まるのか不安な春でした.ちょうどその頃,新幹線異動中に読もうと駅の書店で手に取ったのが,当時まだ流行っていた『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』,略称〈もしドラ〉です.一応,経営学の本に分類されているようです.ドラッカーの原書は読んでいませんので,いわゆる孫引きですが,管理やサポート業務という点では,医局長も野球部のマネージャーも似たようなところがあるように思いました.どちらも本当の“manager”ではないところが味噌です.そのなかでスポッと心の中にはまったのが,〈顧客を定義することの重要性〉と〈マネージャーの資質とは〉という2点について書かれてあったことでした.皮膚科医にとって,あるいは大学病院にとっての顧客はどのような患者なのか,また医局長にとっては医局員もある意味顧客なのだと考えるきっかけになりました.その上でマーケティング,イノベーションの重要性を説かれました.また,マネージャーにおける資質の究極は〈真摯さ〉である,という指摘が気に入りました.原点回帰を促されるとともに,むしろ良い意味で開き直ることができたと思っています.
さて,2012年度も医局長を継続することが先日決定しました.これで三役を2年ずつ一巡りしたことになります.少しでもましな〈マネージャー〉になるべく真摯に取り組む所存です.
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