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文献紹介 癌幹細胞を標的にしたメラノーマ治療の可能性
横山 知明
1
1慶應義塾大学
pp.157
発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103182
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幹細胞は,一般に自己複製能と分化能を有した未分化細胞と定義される.悪性腫瘍においては,従来,すべての癌細胞に自己複製能力があると考えられてきたが,癌細胞のうち自己複製能・多分化能を持つ癌幹細胞が増殖することで多様性を持つ腫瘍が形成されるというモデルが提唱されてきた.その後,血液腫瘍の分野で,癌幹細胞の存在が実験的に示され,近年固形癌においてもその存在が認識されつつある.
今回Schmidtらは,ヒトメラノーマに対しCD20抗原を標的とした免疫療法が可能であることを実験的に示した.CD20は一般にB細胞の表面マーカーとして知られているが,一方でメラノーマの癌幹細胞マーカーとしても報告されている.5人のメラノーマ患者から生検で得られた腫瘍細胞を,免疫不全マウスに移植した.移植されたメラノーマ細胞中,CD20を発現する腫瘍細胞は2%に過ぎなかった.CD20を認識するキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor)を強制発現させた細胞障害性T細胞をメラノーマ移植マウスに移入したところ,抗原特異的な細胞障害活性により,17匹中13匹において完全寛解が得られた.
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