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メラノーマの免疫療法
高田 実
1,2
1岡田整形外科・皮膚科
2岡山大学皮膚科
pp.944
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102954
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- 文献概要
メラノーマは免疫原性の高い腫瘍であり,原発腫瘍や転移の自然消退が認められることから,これまで高用量IL-2,活性化自己リンパ球投与,ペプチドワクチン,樹状細胞ワクチン,CTLA-4抗体投与などさまざまな免疫療法が試みられてきた.これらの免疫療法で完全寛解が得られた症例では稀に治癒に近い長期生存が得られることがあるが,部分寛解も含めた有効率はたかだか数%であった.しかし,最近,フルダラビンとシクロホスファミド投与と全身放射線照射による前処置の後ex vivoで増幅された自己の腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocytes,TIL)を大量のIL-2とともに輸注する養子免疫療法が実に50~70%の高い奏効率を示すことが報告され注目されている.この治療法の鍵は骨髄破壊的な前処置であり,これにより抑制性T細胞が除去され,TILに含まれる強力な細胞障害性T細胞クローンが拡張する環境が整えられる.免疫療法に際して免疫系を強く抑制するという逆説的な戦略が奏効することは大変興味深い.
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