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文献紹介 融合サイトカインによる樹状細胞誘導と抗腫瘍効果
大内 健嗣
1
1慶應義塾大学
pp.334
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102873
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CD8陽性細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte:CTL)は特異的腫瘍抗原を認識する重要なエフェクター細胞である.一方で,種々のサイトカインの併用が腫瘍の免疫原性を高め,腫瘍の退縮を引き起こすことが証明されている.免疫応答における,サイトカインの組み合わせの重要性が示され,かつ各サイトカインの相対レベルが重要であることも判明した.異なる薬理学的効果を示す複数の成分を一定に維持することが必要である場合,2つのサイトカインをin vivoで併用するのは難しい.この併用における困難を減らす戦略が,サイトカインの融合である.
Galipeauらのグループでは顆粒球単球コロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor:GM-CSF)とIL-21を融合し,GIFT-21を作成した.GIFT-21はin vivoで抗腫瘍効果を発揮することが同グループによって確認されているが,詳細なメカニズムは不明であった.今回,GalipeauらはGIFT-21によって単球を樹状細胞〔GIFT-21 DC(dendritic cell)〕に誘導した結果,CTLによる細胞傷害性応答を引き起こすことを証明した.
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