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特集 最近のトピックス2010 Clinical Dermatology 2010
2. 皮膚疾患の病態
セマフォリンとアトピー性皮膚炎のかゆみとの接点
Semaphorin 3A and itch in atopic dermatitis
小森(山口) 絢子
1
,
相原 道子
1
,
池澤 善郎
1
Junko KOMORI-YAMAGUCHI
1
,
Michiko AIHARA
1
,
Zenro IKEZAWA
1
1横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学
1Department of Environmental Immuno-Dermatology,Yokohama City University Graduate School of Medicine,Yokohama,Japan
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
角層
,
神経成長因子(NGF)
,
セマフォリン3A
,
C線維
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
角層
,
神経成長因子(NGF)
,
セマフォリン3A
,
C線維
pp.40-45
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102572
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要約 アトピー性皮膚炎(AD)では表皮内に多くの神経線維が侵入しており,こうした神経伸長を促す神経成長因子(NGF)がADの病勢やかゆみに果たす役割が注目されている.そこでまず,AD患者の臨床症状に伴う表皮のNGF産生量の変化を検討するために角層内NGF量を測定した.その結果,AD患者の角層内NGF量は健常人に比べ有意に高値であり,そう痒や皮疹の重症度を反映することが明らかになった.一方,NGFの効果とは逆に,神経突起伸長を抑制する因子(反発因子)が存在し,セマフォリン3A(Sema3A)は代表的な反発性神経ガイダンス因子として知られている.そこでADの表皮内侵入神経はSema3Aで退縮する可能性が高いと予想し,ADモデルマウスの皮疹部にSema3Aを皮内投与したところ,皮疹が臨床的・組織学的に改善し搔破行動も抑制された.Sema3Aのかゆみに対する作用機序は既存薬とは全く異なるので,難治性AD患者やそのほかのそう痒性皮膚疾患に有効であるかもしれない.
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