特集 シナプスをめぐるシグナリング
16.発達因子/調節リガンド
セマフォリンとその受容体による層特異的神経投射の制御
藤澤 肇
1
Hajime Fujisawa
1
1名古屋大学(名古屋大学大学院 理学研究科 生命理学)
pp.538-539
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101077
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セマフォリンとその受容体
セマフォリン(semaphorin;Sema)は神経軸索の侵入を阻止することにより,結果的に軸索を特定の方向に導く反発性の軸索ガイド因子で,20種を超える分子が見出されている。プレキシン(Plexin;Plxn)はセマフォリン受容体の一つで,これまでに9種のプレキシンが見出されており,A-Dの四つのサブファミリーに分類されている。プレキシンAサブファミリーとしてPlxnA1,PlxnA2,PlxnA3,PlxnA4の4種類が見出されており,PlxnA1は膜貫通型のセマフォリンSema6C,Sema6Dの受容体として,PlxnA4はSema6A,Sema6Bの受容体として機能することが判明している1)。PlxnA2はSema6A,Sema6Bと結合することが確認されているが,セマフォリンのシグナルを伝える受容体として機能しているかは不明である。PlxnA4を介したSema6A,Sema6Bの軸索反発シグナルが末梢神経回路,中枢神経回路の形成を制御すること1),PlxnA2とSema6Aが小脳顆粒細胞の移動を制御すること2)が明らかにされている。
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