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悪性黒色腫のダーモスコピー像を画像解析の研究対象として扱い始めてすでに3年が過ぎようとしている.理工学部とも共同で画像処理,特徴量抽出,線型判別分析,ニューラルネットワークなどを用いた自動解析プログラムにより,悪性黒色腫と色素細胞母斑のみならず,基底細胞癌,脂漏性角化症,血管病変などを診断できるようになることを目標としている.まだまだ開発途上ではあるが,サーバー上に悪性黒色腫とクラーク母斑の自動解析プログラムを置き,遠隔自動診断も一部現実のものになった.実際のサイトのアドレスを示すので試しにダーモスコピー画像を送ってみていただければ幸いである(http://dermoscopy.soft.ics.keio.ac.jp/).もちろん,適応疾患の拡大と診断精度の向上が次の課題であるが,そのさらに先には,どのような展開が考えられるだろうか? ダーモスコピーの色素性皮膚病変診断における重要性が叫ばれて久しいが,意外に普及しない理由はいくつか考えられる.一つにはダーモスコピーという器具が特殊であり,高価な割に保険診療で認められていない点,もう一つは,実際にある程度の診断ができるようになるためには一通りのトレーニングが必要,という点である.このようなダーモスコピーの特殊性を何とかしてクリアし,誰もが一般的に使えるまでに広めたいと考えている.もちろん,高精細画像をみて最終診断をするのは皮膚科医に限られると思うが,その段階に至る前に手遅れになるケースが後を絶たないため,もっとプリミティブなレベルでのスクリーニングが必要であると考える.その一つは,みのもんたによる,「みなさん,足の裏にシミはありませんか? あったら皮膚科を受診しましょう」でもよいのだが,何らかの数値的な指標を突きつけられないと,人間なかなか医療機関を受診しないものである.そこで,安価な携帯用のダーモスコピーを作成し,世界中にばらまくというのはどうだろうか? 携帯電話にこのアタッチメントを付けて簡易型ダーモスコピーとし,誰もが簡単にダーモスコピー撮影を行い,当科ホームページ上で自動スクリーニングを行えたら,と夢を見ている.携帯電話に精通した子供たちが,簡単に家族中の色素斑一次スクリーニングをやってくれて,「おじいちゃん,これは怪しいという判定が出たから早く皮膚科に行ってみてもらいなよ」と言ってくれる時代になればいいな,とひそかに期待している.(〒160-8582 新宿区信濃町35)
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