連載 整形外科医療・機器開発秘話
自家培養軟骨ジャックへ至る道
内尾 祐司
1
1島根大学整形外科
キーワード:
JACC
,
matrix-associated autologous chondrocyte implantation
,
atelocollagen
Keyword:
JACC
,
matrix-associated autologous chondrocyte implantation
,
atelocollagen
pp.47-50
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_47
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は じ め に
1994年,Brittbergらが発表した自家軟骨細胞培養移植術(autologous chondrocyte implantation:ACI)は修復困難な膝関節軟骨欠損に対する再生医療としての新機軸をもたらした1).本法はまず関節鏡視下に大腿骨非荷重部の軟骨を採取し,生体外で酵素処理して自家軟骨細胞を単離し,培養フラスコ内で2~3週間培養・増殖させた後,二期的に関節切開し軟骨欠損部に培養細胞を注入して自家骨膜で被覆する方法である.本法は第一世代のACI,あるいはperiosteal ACI(pACI)と呼ばれる.これに対して1995年に越智光夫先生は単離した自家軟骨細胞をアテロコラーゲンゲルに包埋して三次元培養後移植し,自家骨膜で被覆するアテロコラーゲンゲル包埋自家軟骨細胞培養移植術を考案された2).本法はmatrixとともに軟骨細胞を移植するため,matrix-associated ACI(MACI)であり,第三世代のACIといえ,periosteal MACI(pMACI)である.
島根医科大学での臨床成績の発表後3),本法はジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)社に技術移転され,前向き多施設研究が行われた4).その良好な術後成績から2012年に自家培養軟骨ジャックは独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認を得て,2013年に4cm2以上の外傷性軟骨欠損症あるいは離断性骨軟骨炎による軟骨欠損に対して保険収載された.本稿では自家培養軟骨ジャックに至る道のりとその展望を述べる.
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