特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の新しい器械,器具
Ⅵ.その他の器械
3.赤外線CCDカメラ
八木 聰明
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.149-154
発行日 2001年4月30日
Published Date 2001/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902361
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はじめに
半規管および耳石器からの前庭入力は,前庭神経核で,下オリーブ核〜小脳片葉経由で入力される視覚信号によって抑制される1)。すなわち,前庭性の眼球運動は固視状態では発現し難く,非固視状態,すなわち遮眼や暗所開眼で発現しやすい性質がある。そこで,前庭性眼振をより純粋な形で検出するために,自発眼振検査あるいは前庭性誘発眼振検査である温度眼振検査や回転刺激検査は,非固視状態(暗所)で行われる。また,この現象は,visual suppression test2)として,その抑制経路である小脳や脳幹の機能を調べる検査として用いられている(図1)。
内耳障害によって発現する病的眼振も前庭性眼振の一種である。この前庭性眼振である自発眼振は,一般に病勢の衰えとともに減弱するが,上に述べたように注視下では固視抑制が働いて観察されないことが多い。古くから検査器具として用いられているフレンツェル眼鏡3)は,この固視抑制を軽減させるために考案されたものである。
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