特集 全身疾患と耳鼻咽喉科
Ⅰ.呼吸器疾患
5.耳鼻咽喉科領域におけるサルコイドーシスの診断と治療
寺田 修久
1
,
小林 紀子
1
,
高橋 直樹
1
,
岸 宏久
1
,
沼田 勉
1
,
今野 昭義
1
,
持田 晃
2
1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2東武大師前耳鼻咽喉科
pp.36-41
発行日 2000年4月30日
Published Date 2000/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902147
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はじめに
サルコイドーシスは原因不明の非乾酪性肉芽腫性疾患で,病変は全身性であるが,肺,眼,皮膚を主病変とすることが多い(表1)1)。このうち肺野病変および両側肺門リンパ節腫大(bilateral hilar lymphadenopathy:BHL)が最も高頻度に認められ,本症に特徴的な臨床所見といわれている。北に多く,南に少ないことが知られている。発病に性差はないが,男性では20歳台にピークを示し,女性は20歳台と40歳台に二峰性のピークを示す。耳鼻咽喉科領域においても,これらの胸部病変に合併して,頸部リンパ節腫脹,唾液腺腫脹,各種神経麻痺,粘膜病変など,実に多彩な症状を呈することで知られており,頻度は稀だが注意を要する疾患であると考えられる。われわれ耳鼻咽喉科医がサルコイドーシスに遭遇する頻度は少ないが,鑑別診断の1つとして念頭におくべき疾患である。
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