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はじめに
サルコイドーシスには,以下のような定義づけが与えられている.
「サルコイドーシスとは原因不明の多臓器疾患である.若年と中年に好発し,両側肺門リンパ節,肺,眼,皮膚の罹患頻度が高いが,肝,脾,リンパ節,唾液腺,心,神経系,筋肉,骨その他の臓器が罹患することもある.
診断は,臨床およびX線所見に加えて,罹患部位から採取した組織標本に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が存在すれば確実となる.既知の原因による肉芽腫と局所性サルコイド反応は除外する.
免疫学的には,しばしば,皮膚の遅延型過敏反応の抑制と,病変部位におけるCD 4陽性T細胞/CD 8陽性T細胞比の増加がみられる.B細胞活性化を示唆する所見もときには認められる.その一つとして,血中免疫複合体を認めることもある.その他の検査所見として,血清アンギオテンシン変換酵素(SACE)活性の上昇,Gaシンチ陽性所見,Ca代謝の異常,蛍光血管造影所見の異常がある.Kveim-Siltzbachテストは良質な検査液が使用できれば診断の一助となる.
経過と予後は,一般に発病様式と病変の拡がりに関連する.結節性紅斑を伴う急性発病例や無症状の両側肺門リンパ節腫脹の例は,通常は自然経過で消退することが多いが,潜行性発病例,特に多臓器に肺外病変のある例は,慢性に進行することが多く,肺やその他の臓器の線維化に進展することもある.
副腎皮質ホルモン剤は症状を改善させ,肉芽腫形成を抑制し,SACE値とGaの取り込みを正常化する(第12回世界サルコイドーシス・肉芽腫性疾患会議1991)1)」
加えて,サルコイドーシスは,発生率・臨床像・病態・臨床経過のいずれにおいても地域差・人種差・民族差のあることが指摘されている2,3).
本稿においては,サルコイドーシス研究の先進国である欧米のサルコイドーシス症例と本邦症例との比較を通じて,わが国のサルコイドーシス症例の特徴を明らかにするとともに,サルコイドーシスをめぐる問題点,今後の課題についての考察を試みることとしたい.
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