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はじめに
鼻出血は,その大部分がキーゼルバッハ部位からの出血であり,止血は比較的容易である。しかし,鼻腔後方からの出血は鼻出血全体の約5%を占め1),出血部位の同定や止血処置は難しく,バルーンカテーテルタンポン(以下,バルーンと略)やベロックタンポン(以下,ベロックと略)を用いた保存的な治療で止血できない場合は,顎動脈結紮術や顎動脈塞栓術,内視鏡的蝶口蓋動脈結紮術といった出血の原因になっている血管への直接の処置が必要になる。
経上顎洞的に翼口蓋窩に到達する顎動脈結紮術は1928年にSeiffert2)によって紹介されて以来,その止血効果については数多くの報告がある3〜8)。さらに顎動脈塞栓術と比較した場合でも,再出血率,合併症の重篤度などから本法のほうが優れていると報告されている9)。しかし,臨床的に本法の適応について考察した報告は少ない。
今回われわれは当科に入院した鼻出血症例を検討し,顎動脈結紮術の適応とその臨床評価について考察したので報告する。
We analyzed the effect and the indication oftransantral ligation of the internal maxillary artery. In 62 patients with epistaxis, 14 were treated with the ligation of the artery, and 48 treated with ante-rior and posterior nasal packing. In the case of repeated posterior epistaxis which may need blood transfusion the ligation of the internal maxillary artery is preferable.
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