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はじめに
慢性腎不全患者は潜在的な甲状腺機能低下状態にあるといわれており1,2),その原因として末梢におけるT3からT4への転換障害や,様々なレベルでのフィードバッグ障害などが挙げられている2)。われわれは腎不全患者における甲状腺の内分泌異常が,甲状腺の形態に少なからぬ影響を与えているのではないかと推測し,透析患者の甲状腺について超音波検査を行い,コントロールと比較,検討した。コントロールには,腎疾患や甲状腺疾患の既往のない耳鼻咽喉科疾患の患者と健常人を合わせた100例を用いた。なお,今回の検討では,全症例について甲状腺超音波検査を行う際に検査の目的を説明し,了解を得てから検査を行った。透析患者だけに対象を絞った甲状腺の超音波検査の報告は,過去に幾つか認められるが3,4),透析患者とコントロールを同時に同一施設で検討したのはわれわれが初めてであり,透析群とコントロールの甲状腺の疾患頻度について文献的考察を加えて報告する。
The ultrasonographic study of the thyroid gland was performed in 90 cases of chronic renal failure patients receiving hemodialysis and in 100 cases of control group at Kushiro City General Hospital. The incidence of thyroid diseases was 42% in hemodialysis group and 35% in control.
There was no significant difference of the inci-dence of thyroid disease between both groups.
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