目でみる耳鼻咽喉科
内頸動脈奇形を伴う鼓室内異常血管
氷見 徹夫
1
,
伊藤 順一
1
,
形浦 昭克
1
,
坂田 元道
2
1札幌医科大学耳鼻咽喉科学教室
2札幌医科大学放射線部
pp.648-649
発行日 1999年9月20日
Published Date 1999/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902040
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鼓室内の血管異常走行として,動脈系では胎生期のアブミ骨動脈(stapedial artery)遺残が認められることがある。このほか,稀であるが先天性内頸動脈部分欠損を伴い,その側副経路としての異常鼓室内血管はaberrant(lateral) internal carotid arteryと呼ばれている。ここではaber-rant internal carotid artery症例の画像所見を呈示し,発生学的機序を考察する。
症例は26歳の女性で,めまい,左拍動性耳鳴を主訴に来科した。鼓膜所見では赤白色の拍動性腫瘤が透見された。CT所見では,頸動脈管外側の骨欠損とそれに続く腫瘤性陰影を鼓室内に認めた(図1)。3次元CT像では,鼓室内への異常血管の突出と耳小骨の位置関係が理解され,蝸牛岬角との関係も容易に理解できる(図2)。血管病変であることはMR angiographyで確認され,内頸動脈の走行が垂直部から水平部への移行部で,強く外側に突出しているのがわかる(図3)。
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