トピックス めまい—私の考え方
6.頸部筋原性反応とめまい
室伏 利久
1
1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.688-692
発行日 1999年9月20日
Published Date 1999/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902046
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はじめに
前庭性頸筋反応(VEMP)は,比較的大きな音響刺激によって,頸筋,中でも胸鎖乳突筋に生じる反応である。この反応が注目されているのは,音響刺激を用いてはいるものの,蝸牛系ではなく前庭系の機能検査として有望と考えられているからである。本反応は,聴力の保存された前庭神経切断術施行例で消失すること,ほぼ聾に近い患者で本反応が記録され得ることなどから,前庭系由来の反応であることが示唆されてきている1〜3)。その後のモルモットによる動物実験で前庭神経ニューロン,中でも球形嚢由来のニューロンがクリック音刺激に反応することが確認された4〜6)。そのほかにも,種々の臨床研究が行われてきており,VEMPは前庭系由来であるが外側半規管以外の部分,おそらくは球形嚢由来の反応であろうと考えられるようになってきた7,8)。本反応を初めて報告したのは,Colebatch & Halmagyi1)であるが,Halmagyiは,この反応をvestibular evoked myogenic potential(VEMP)と称している。Halmagyiの命名に従い,われわれも通常この反応をVEMPと略称している。
本稿ではまず,簡単に記録法・判定法について解説した後,これまでに行われてきためまい疾患に関する臨床研究について解説し,さらに今後の展望について述べる。
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