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耳科・頭蓋底外科における迷路操作について
小林 俊光
1
,
田中 藤信
1
,
佐藤 利徳
2
1長崎大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2三菱重工長崎造船所病院耳鼻咽喉科
pp.749-757
発行日 1997年10月20日
Published Date 1997/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901664
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はじめに
近年の中耳手術においては,真珠腫による迷路瘻孔の治療が従来よりも積極的に行われ,かつてはタブーであった瘻孔部母膜の除去が一般に行われるようになった1)。また,眩暈治療においても,半規管充填2〜5),アミノ配糖体系薬剤による外リンパ腔灌流6,7),レーザー内耳手術8)などが行われており,聴力保存的迷路操作に関する経験がわれわれ耳鼻咽喉科医の間に集積されつつある。また,人工内耳手術や頭蓋底外科手術9,10)の普及もこの傾向に拍車をかけている。
本稿では,迷路瘻孔治療とその基礎動物実験,錐体部真珠腫摘出時の上半規管切断術などの筆者の経験11〜14)をもとに,中耳手術時の半規管の取り扱い方,とくに部分的迷路摘出術につき論ずるとともに文献的考察を行う。本稿では主として器械的迷路部分摘出について論ずるものとし,レーザー内耳手術(野村ら8)),薬剤を用いたpharmacolo-gic (chemical)labyrinthectomy15)には触れないこととする。
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