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内リンパ嚢に関する電気生理学的・形態学的研究—最近の知見から
森 望
1
,
古田 浩
1
,
星川 広史
1
,
呉 大正
1
1香川医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.1027-1034
発行日 1996年12月20日
Published Date 1996/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901497
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はじめに
内リンパ嚢は蝸牛・前庭とともに膜迷路の一部を形成しており,球形嚢・卵形嚢から内リンパ管を通して繋がっている(図1)。前庭水管内の部分と硬膜およびS字状静脈洞に接した頭蓋内の部分がある(図2)。内リンパ嚢は近位部,中間部,遠位部に分けられ,各部位とも1層の細胞よりなっている。形態学的に近位部,遠位部は1種類の細胞であるが,中間部は2種類の細胞からなっている1〜3)。
内リンパ嚢の機能として表1にあげるようなことが推測されている。内リンパ嚢・内リンパ管を閉塞した動物(モルモット,マウス,家兎など)で蝸牛・前庭に内リンパ水腫が形成されることから内リンパ嚢が内リンパ液の吸収に関与していると推測されている4〜6)。最近,内耳の免疫に関して,内リンパ嚢が重要な役割をしていることが報告されてきている7,8)。しかしながら,内リンパ嚢についてはその生理,形態など,まだ不明な点が多い。われわれは数年来,内リンパ嚢に関する電気生理学的,形態学的研究をしており,それらの研究結果を含めて内リンパ嚢についての最近の知見を述べたい。
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