目でみる耳鼻咽喉科
再発性多発軟骨炎の1症例
鈴木 雅一
1
,
益田 慎
2
,
菊地 信幸
3
,
石塚 洋一
1
1帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科
2広島大学医学部耳鼻咽喉科学教室
3帝京大学医学部附属市原病院耳鼻咽喉科
pp.932-933
発行日 1994年11月20日
Published Date 1994/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901036
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全身の軟骨を主体として,系統的に種々の病変を生じる炎症性疾患に再発性多発軟骨炎(relaps-ing polychondritis)がある。その症状は多彩であり,治療法も上分には確立されていない。しかし,耳介の発赤と腫脹,さらに鞍鼻,嗄声や呼吸困難など耳鼻咽喉科領域の初発症状を訴えることが多く,まれな疾患ではあるが本疾患について十分に認識している必要がある。
今回,耳介の発赤を初発症状として発症した30歳女性の1症例を供覧する。耳介の発赤と腫脹および四肢の関節痛を反復し,経過中に鞍鼻が発症した。また,急速に進行すると嗄声と呼吸困難を訴えた。嗄声と呼吸困難の原因は,両側声帯の可動制限と浮腫,さらに気管の狭窄によるものであった。ステロイドを中心とした治療を行い約1年3か月の経過観察を行ったが,経過は順調である。
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