特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域 腫脹の診断
2.鼓膜の腫脹
新川 敦
1
1東海大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.11-15
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901010
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はじめに
鼓膜の腫脹をきたす疾患は多く,そのなかには鼓膜切開術・鼓室形成術などの手技により,致命的な病態をひきおこすことがある。術中,術後の偶発症,合併症を防止するためには,常日頃から顕微鏡下の詳細な鼓膜の観察により,腫脹している場所,炎症の程度,石灰化,腫脹の色調,拍動の有無,鼓膜上皮の有無などを詳細に観察することを習慣づけておくことが大切であると考えられる。また,合併症を起こす危険性の大きな疾患と考えられる場合には,高分解能CT (HRCT),MRI,Angiographyなどの画像診断を行う必要がある。今回はわれわれが経験した症例を中心に鼓膜の腫脹をきたす疾患について鑑別診断を中心に述べる。
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