Japanese
English
講座 頭頸部外科に必要な局所解剖・14
咽頭(1)
Pharynx(1)
佐藤 達夫
1
1東京医科歯科大学医学部第2解剖学教室
pp.382-388
発行日 1994年4月20日
Published Date 1994/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900916
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
「耳鼻咽喉」科学という分科名は,一字いちじが意味を表現する漢字の特性を生かし,しかもこの科がカバーする部位を少ない字数の中で明示しており,巧みな造語というべきであろう。ところが国際的に用いられるOto-rhino-laryngology(ORL)には,「咽」を表わすpharyngo-(P)が省略されている。耳鼻咽喉科学は耳科学と鼻科学および喉頭科学の3科が結合したtriologyのかたちで成立した経緯があるという1)。もちろん,この喉頭科学には咽頭科学も含まれていたようだが,特殊な機能に応じて特異な形態を示す耳・鼻・喉頭にくらべれば,咽頭は形態面で特徴に乏しく影の薄い存在であり,Pがはじき出されるのも無理なからぬとも言えよう。しかし,耳・鼻・喉頭が相互に連絡を保つのは咽頭を通じてである。さらに加えて,咽頭は気道と消化管が交叉する所であり,頭頸部における交通路を扼する要衝と言える。臓器各論に入る前に,すべてに関連をもつ咽頭に気配りを与えておくのは,無駄ではあるまい。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.