特集 耳鼻咽喉科の機能検査マニュアル
1.聴覚検査
[1]純音聴力検査
松平 登志正
1
1金沢医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.5-13
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900800
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1.検査の意義
純音聴力検査は,刺激音として純音(単一周波数の正弦波で表される音)を用いる検査で,被検者に聞こえる最小の刺激強度すなわち聴力閾値を測定する検査と,十分に聞こえるレベルの音の聞こえかたを調べる閾値上聴力検査に分けることができる。本項では学齢期以後の年齢の被検者を対象とした聴力閾値検査について述べ,乳幼児を対象とした聴力検査は[7]条件詮索反射聴力検査において述べる。また,閾値上聴力検査は次項[2]において述べる。
聴力閾値の検査には気導聴力検査と骨導聴力検査がある。両者とも聴力障害の診断の第一歩となる基本的な検査法である。気導聴力検査は,ヘッドホン型受話器(気導受話器)を用い,外耳道経由で空気の振動として音を聴取させ,聴力閾値を測定する。この検査により,周波数別に片耳ごとの難聴の程度を定量的に知ることがでぎる。骨導聴力検査は,バイブレータ(骨導受話器)を乳突部(または前額部)に圧定して頭蓋骨を振動させ,聴力閾値を測定する。この検査と気導聴力検査の結果から,難聴が,外・中耳の病変で起こる伝音難聴であるか,内耳またはそれより中枢側の病変で起こる感音難聴であるか,両者が合併した混合性難聴であるかを判別することができる。
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