講座 頭頸部外科に必要な局所解剖・1
頸部の皮下
佐藤 達夫
1
1東京医科歯科大学医学部第2解剖
pp.77-84
発行日 1993年1月20日
Published Date 1993/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900673
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はじめに
頭頸部の局所解剖についてしばらくの間連載することになった。人体のどの部位においても,とくに悪性腫瘍に対する手術が一方で根治化を求めて拡大し,他力でその成果を踏まえ,機能温存を配慮した縮小化が志向されるようになると,正確で詳しい局所解剖を求める声がたかまってくるのは当然である。単純切除の時代の局所解剖では,リンパ節郭清を伴う術式の時代に対応できないということであろう。もちろん,それに必要な局所解剖は,実際に手術にあたる専門医が執筆するのが本すじであり,一介の解剖教師の手におえるものではない。しかし,手術に携わらない非当事者が対象物から一歩距離を保って書いた局所解剖も,臨床医にとってときには有益かもしれないと考え,連載を引き受けることにしたしだいである。はじめに頸部を扱うが,手術の対象となる諸臓器に入る前に,予備知識として皮下,筋と筋膜,血管,リンパ系,神経などに当ることにする。
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