増大号 POCUSの決め手。 早く、正確な診断のために
4章 症状別検査の進め方
頸部・乳腺などの皮下領域の腫れ(膨隆)
鯉渕 晴美
1
1自治医科大学臨床検査医学
キーワード:
皮下腫瘤
,
乳腺
,
甲状腺
Keyword:
皮下腫瘤
,
乳腺
,
甲状腺
pp.334-341
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209277
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はじめに
皮膚の皮下結節・腫瘤・硬結(いわゆる“しこり”“腫れ”)では,腫瘍だけではなく,皮下膿瘍などの皮膚あるいは軟部組織感染症,リンパ節腫大,腹壁ヘルニアなど,幅広い疾患でPOCUSが行われる1).しかし,体表POCUSのエビデンスを示した論文は少ない.
皮膚疾患は皮膚科医のみならず総合診療医や家庭医が診察する機会が多く,プローブを病変に当てれば病変の超音波像が得られることから,皮膚皮下組織エコーをマスターしておくことは有用である.その前にまずは皮膚構造が超音波でどのようにみえるか理解することが必要である.皮膚皮下組織エコーは10MHz以上の高周波プローブを使用するが,特に浅い部分の表皮を評価する場合,15MHz以上の高周波プローブが必要となることもある.
プローブと皮膚の間にゼリーを介して皮膚表面を観察すると,皮膚表面の境界部エコー(高エコー)に続いて薄い低エコー層がみられ,これが表皮に相当する.真皮はやや高エコー層として描出され,その深部の皮下組織は真皮よりもやや低エコーに描出される2)(図1).
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