目でみる耳鼻咽喉科
舌根部の腫瘤性疾患
鎌田 利彦
1
1北里大学医学部耳鼻咽喉科
pp.716-717
発行日 1992年10月20日
Published Date 1992/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900596
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舌扁桃肥大を除いて舌根部における腫瘤性病変は比較的稀であり,良性疾患では嚢腫,悪性疾患では扁平上皮癌,悪性リンパ腫が知られている。われわれは開院以来20年間に経験した舌根部の腫瘤性疾患を集計した。良性,悪性とも男性に多く認められた(表1)。良性腫瘤は上皮性由来として嚢腫と乳頭腫が,結合組織由来として脂肪腫,骨性分離腫があげられる(図1,2,3,4)。乳幼児の舌根嚢腫を除いて,咽頭違和感や無症状で偶然自分でみつけた例が多い。悪性腫瘤は咽頭痛,出血,頸部腫瘤で受診することが多く,癌腫では扁平上皮癌,腺様嚢胞癌,肉腫では平滑筋肉腫,悪性リンパ腫があげられる(図5,6,7,8)。また,多形腺腫は4年後に癌化しており,腫瘤によっては十分な経過観察が必要である。
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