Medical Topics
悪性過高熱症,他
K.N
pp.94-95
発行日 1970年1月1日
Published Date 1970/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914751
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最近,麻酔科の分野で,malignant hyperpyrexia(悪性過高熱症)という言葉が登場してきた。これは,全身麻酔中に体温がどんどん上昇して,そのあげく,多くは死の転帰をとるというものである。
このような患者は,一見強壮であって,術前状態からはなんら不幸な結果を予知できるような所見は見つからない。しかも,以前,全身麻酔を受けて何の事故もおこらなかったといって,この危険性を否定することもできない。手術にのぞんで,ごく普通の全身麻酔,すなわち,ペントサール静注で導入,サクシニルコリンで筋弛緩のうえ,気管内挿管,笑気とハローセン吸入による麻酔維持を行なっているうちに,大体45分くらいしてから,異常な体温の急上昇(42℃以上にもなる)がおこる。頻脈,高度の代謝性アシドーシス,高カリウム血症などがみられる。そして,しばしば随意筋の緊張度が増し,サクシニルコリンも効きにくいことが多い。そのあげく,ついには心停止をみるということである。
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