特集 外来診療マニュアル—私はこうしている
I.症状の診かた・とらえ方—鑑別のポイントと対処法
3.耳閉塞感
新川 敦
1
1東海大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.15-17
発行日 1991年11月5日
Published Date 1991/11/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900366
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耳閉塞感(耳閉感)は日常耳鼻咽喉科診療で患者が訴えることが比較的多い症状であるが,難聴,耳鳴,耳漏,耳痛などがあるとそれらの症状が強いため,耳閉感はそれらに付随する随伴症状であることが多い.また難聴,耳鳴などの程度が大きいと耳閉感を訴えないことも多い.しかし耳鳴がなかったり難聴の程度が軽度である場合には耳閉感を主訴として来院することが多く,そのなかには多くの耳疾患が含まれているので,その鑑別には慎重を要する.表1に耳閉感を症状とする疾患を示したが,症状出現の可能性を考えると耳科学全ての疾患において耳閉感が出現するといっても過言ではない.
耳鼻咽喉科医にとって外耳道,鼓膜所見を把握することは日常のことであるため,外耳,鼓膜疾患のために耳閉感を訴える場合には2〜3の疾患を除いて,さほど診断に苦慮することは少ないと考える.一方,鼓膜に所見のない,かつ難聴,耳鳴などを訴えない患者が耳閉感を主訴に来院した場合には診断に苦慮することが少なくない.今回はこういった診断に苦慮する場合を中心に私見を述べる.
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