特集 生活の視点で読み解く! 今日の緩和ケア ~患者になにが起こっているのか~
Ⅱ 排泄する
消化管閉塞/イレウス・腹部膨満感とはどういう状態か
木内 大佑
1
1国立がん研究センター中央病院 緩和医療科
pp.430-433
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_430
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病態 ~なにが起こっているのか~
腸閉塞(消化管閉塞/イレウス)とは,腸管内容物の通過障害によって起こる腹痛・嘔吐・便秘などの症状を呈する病態の総称である.術後癒着や腫瘍やがん性腹膜炎による機械的腸閉塞と,腸管の運動麻痺による機能的腸閉塞がある.イレウスは一般に機能的腸閉塞を指し,機械的腸閉塞の意味には消化管閉塞の語を用いることが多い.とくに,悪性腫瘍が原因で発生する消化管閉塞のことを悪性腸閉塞(malignant bowel obstruction)とよぶ.機械的腸閉塞の閉塞部位は小腸が多く,機能的腸閉塞の原因では内臓神経への腫瘍浸潤やオピオイドなどの薬剤による腸管運動機能障害が知られている.
腹部膨満感は「おなかが張る,圧迫されているように感じる」という自覚症状のことをいう.他覚的に,臥位で臍部や腹部の一部が剣状突起と恥骨を結ぶ線より突出している場合は腹部膨隆という.腹部膨満感の原因となりうる病態として,上記の腸閉塞以外に,腹水,便秘,腸内ガス貯留/呑気症,腹腔内腫瘍(原発巣,腹膜播種,肝転移,リンパ節転移など)などが挙げられる.
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