目でみる耳鼻咽喉科
診断困難であった早期喉頭癌
古川 浩三
1
1北里大学医学部耳鼻咽喉科
pp.276-277
発行日 1991年4月20日
Published Date 1991/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900266
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耳鼻咽喉科医において,喉頭癌の診断は一般的には,容易なものである。特に進行した症例においては,嗄声,血痰,呼吸困難などの症状からも,視診からも簡単に喉頭癌という診断はなされる(図1)。しかし早期の喉頭癌の診断はそれほど簡単なものではないと思う。隆起性の表面がブツブツした赤い腫瘍は癌を高率に推定できる(図2)。しかし,乳頭腫のようなブツブツの小さいものや境界明瞭なものは鑑別が困難なことがある(図3)。
問題は白い病変であまり隆起のない症例の診断である。喉頭微細手術のときに白板症か癌かの鑑別診断はかなりむつかしいことがある(図4,5)。喉頭微細手術にレーザーを使用するにあたっては病変の深達度が問題になる。正常組織との境界の不明瞭な白板症や,周辺の組織が水々しい症例(たぶん浮腫や炎症を伴っているのであろう)は癌を考えて治療したほうがよいと思う(図6)。
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