トピックス 高齢者と耳鼻咽喉科・愁訴と対応
鼻科学的愁訴
堤 昌己
1
1杏林大学医学部耳鼻咽喉科
pp.205-208
発行日 1991年3月20日
Published Date 1991/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900255
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はじめに
本邦ではすでに65歳以上は全人口の11%以上となり,来たる21世紀初頭には世界一の高齢者社会となるといわれている。
ここで高齢者の鼻に関する問題を取扱うに当って果たして何歳からと区切をつくることには問題があるように思える。本邦では生活環境の改善進歩が,ある面ではみられ着実に平均寿命は伸びており,当然鼻の老齢化も先送りされているものと推定される。従来より60歳以上を高齢者として鼻閉などに関していくつかの報告もみられているが,果たして老齢化現象を60歳以上とするのが妥当であろうか。また,20〜60歳までの加齢による変化を自覚的,他覚的に正確に捉えることは至難のことといわざるを得ない。しかし,20歳から一足とびに60歳,70歳へと鼻腔内や自覚症が変化するのではなく,その変化の過程を鼻腔形態の年齢的推移を追って,その加齢の実態の解明をまず試みたいと思う。
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