--------------------
あとがき
丹生 健一
pp.608
発行日 2019年6月20日
Published Date 2019/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202132
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
5月10日,第120回日耳鼻総会で宿題報告を務めさせていただきました。「頭頸部がんの最適化医療—根治とQOLの両立を目指して」と題し,これまで教室員や学内外の多くの方々と取り組んできた頭頸部癌の診断と治療,トランスレーショナル・リサーチの成果を報告いたしました。振り返りますと,小生が入局した昭和61年は,ちょうど遊離皮弁による再建が世に広まり出した頃で,進行癌を「どこまで切除できるか?」を競っていた時代のように思います。あれから30年余り,低侵襲な経口切除,強度変調放射線治療,粒子線,分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬など,多彩な治療法が選択できるようになり,頭頸部癌の治療においても根治とともに生活の質が問われるようになりました。どこまで会員の皆様のご期待に沿えたかは判りませんが,次世代の頭頸部外科医の皆さんの明日からの臨床や研究のヒントとなるものが一つでも見つかれば望外の喜びです。
さて,今月号では吉原俊雄先生のReview Article「多彩な唾液腺疾患に対する診療と唾液に関する新知識」を掲載しています。本誌編集委員の大先輩,日本唾液腺学会前理事長 吉原先生のライフワークをぜひ,ご一読ください。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.