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紆余曲折を経て,2018年度より総合診療を含む19基盤診療科の専門医制度の日本専門医機構による運営が開始されることになりました。2017年10月から募集が開始され,研修医達の動向が心配されましたが,耳鼻咽喉科専門医養成プログラムには1次募集終了時点で,既に例年を大幅に上回る約250名の応募があったそうです。今後もこの傾向が続くとよいですね。
さて,ここ数年の間に,抗EGFR抗体や分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬など,頭頸部癌・甲状腺癌に対して新たな作用機序による薬物療法が次々と登場してきました。従来の抗癌剤では効果がみられない再発・転移に対して,長期生存が期待できるようになった反面,これまでに経験しなかった副作用もみられます。そこで,本号の特集は「頭頸部癌に対する薬物療法-最新情報」と題して,導入化学療法,薬物同時併用放射線療法,術後化学放射線療法,上咽頭癌に対する化学療法,切除不能再発・転移頭頸部癌,甲状腺癌に対する分子標的薬,唾液腺癌に対する薬物療法,悪性黒色腫に対する薬物療法,免疫チェックポイント阻害薬について本邦における第一人者にご解説いただきました。原著論文も,耳鼻科領域の疼痛を主訴として受診した虚血性心疾患(渡邉論文),抗甲状腺薬による血小板減少が疑われたバセドウ病(中田論文),鼻中隔に発生した多形腺腫(亘論文),口腔内病変が診断の契機となったHIV感染症(澤田論文),彎曲型喉頭鏡により原発巣を同定し得た原発不明癌(大久保論文),輪状甲状間膜切開を要した上気道狭窄(加藤論文)など,安全・安心な医療を行っていくうえで非常に参考となる症例報告が揃いました。こちらも是非,ご一読ください。
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