書評
前庭リハビリテーション—めまい・平衡障害に対するアプローチ
石川 和夫
1
1秋田大学大学院 耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座
pp.947
発行日 2015年10月20日
Published Date 2015/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200751
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
めまい症例に対するリハビリテーションは,欧米では進んでいる。この問題に携わっている理学療法士(以下,PT)が沢山いて,めまい患者の理学療法に活躍している。既に,彼らは,その面に関するscientistでありprofessionalであるとの認識と誇りを持って活躍している。私が関わって来た国際姿勢歩行学会もリハビリテーションに関わる専門家の参加が大半を占める勢いですらある。
20世紀半ば近くになって前庭リハビリテーションの有用性についてCawthorneとCookseyが報告した後で,この問題に対する合理性と有用性に関する基礎的根拠をリスザルで示したのがIgarashiであった。奇しくも私がIgarashi研究室に留学していた頃(1982〜1984)盛んに取り組んでいたテーマでもあった。その成果の発表後,急速に臨床応用が進んで現在に至っている。しかし,日本は,この面でやや遅れをとってしまっている。まだ,診療のあらゆる面で医師が関わらなければならないとする瑕疵がその背景にあると思われる。例えば,米国では,PTがBPPVの患者さんに対する理学療法を施行して保険請求できるようになっている。医療を取り巻く環境の違いこそあれ,日本でも,もっと積極的に且つあまねくこの問題を取り扱う医師やPTが増えて医療水準が向上することを慮っていた。そんな矢先に,本書が出版されたことは,まことに喜ばしいことである。こうした問題を取り扱った参考書は本邦では少ない。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.