特集 高齢者の耳鼻咽喉科・頭頸部疾患—治療とリハビリのてびき
2.高齢者の平衡障害
④めまい,平衡障害のリハビリテーション
渡辺 行雄
1
,
浅井 正嗣
1
,
清水 勝利
1
1富山医科薬科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.59-64
発行日 1998年4月30日
Published Date 1998/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902698
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はじめに
めまいの多くは一過性に経過し,症状消失後は後遺症を残さないことが多い。しかし,前庭神経炎,めまいを伴った突発性難聴,メニエール病などに対する迷路破壊手術後など種々の原因で一側の前庭機能が高度に障害されると,めまい発作とともに高度の体平衡障害が発現し,これらが軽減しても不動感,ふらつきが長期間持続する症例が少なくない。また,めまい症状は訴えないが,暗いところを歩きにくい,高所で不安定感を感ずる,片足立ちで靴下をはきにくい,などの生活上の問題点を訴える症例がときに見受けられる。
このような,一側前庭障害のめまい,平衡障害に対するリハビリテーション(以下,リハビリ)については,1946年のCawthorne1),Coocksey2)以来,具体的方法や基礎的理論に関して種々の報告がある。本稿では一側前庭障害を中心に,めまい,平衡障害に対するリハビリについての私達の経験について述べる。
なお,本誌は高齢者の特集であるが,めまい,平衡障害に対するリハビリの基本的な考え方と方法は高齢者で大きく変わるものではないので,一般的な事項について述べた後に,高齢者のリハビリの注意事項について項目を設けて説明する。
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