増刊号 こんなときの対応法がわかる 耳鼻咽喉科手術ガイド
Ⅰ.耳の手術
鼓膜形成術
田中 康広
1
1獨協医科大学越谷病院耳鼻咽喉科
pp.14-17
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200573
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症例呈示
12歳,女児。幼少期から耳漏を反復しており,右耳の難聴を訴えて近医を受診した。右慢性中耳炎の診断にて,手術目的で当院へ紹介となった。
初診時の純音聴力検査では低音部を中心とした伝音難聴を認め,気骨導差は全域にわたり20〜30dB程度であった。外耳道の屈曲が強いため,拡大耳鏡および顕微鏡下では鼓膜の所見がほとんど取れなかった。内視鏡を用いた観察では,辛うじて鼓膜に独立した2つの小穿孔と穿孔周囲の著明な石灰化を認めたが,外耳道前壁の張り出しが強いため鼓膜の前下方が明視下に確認できなかった(図1,2)。
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