Japanese
English
特集① 耳鼻咽喉科疾患と遺伝子
めまい・平衡障害と遺伝子
Dysequilibrium and gene
喜多村 健
1
,
野口 佳裕
1
Ken Kitamura
1
1東京医科歯科大学医学部耳鼻咽喉科
pp.893-899
発行日 2012年11月20日
Published Date 2012/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102313
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Ⅰ はじめに
2001年2月に,ヒトゲノム計画によりヒトゲノムの概略が解読され,Nature,Science両誌の表紙を飾ってから,既に11年が経過している。その間,2004年にはヒトゲノムの最終報告がなされている1)。生物の設計図が示され,個々の遺伝子機能の解析により,文字通り生命現象そのものが詳細に解明されてきている。とりわけ,内耳病態をゲノムから解析した研究は,他臓器より歴史があり,また,多数の原因遺伝子が同定されている。難聴遺伝子のホームページ(http://hereditaryhearingloss.org/,2012年3月9日update)によると,難聴以外の臨床症状を伴わず,症例数も多く臨床的には問題となることが多い非症候群性遺伝性感音難聴の原因遺伝子は,常染色体優性遺伝で27,常染色体劣性遺伝で40,X連鎖遺伝で3,Auditory Neuropathyが1,ミトコンドリア遺伝子変異が7個報告されており,重複を除いても,70個以上の遺伝子が同定されている2)。ところが,これら多数の難聴遺伝子のなかで,遺伝子変異によるめまい・平衡障害について,詳細に解析されている遺伝子は数少ない。本稿では,ミトコンドリア遺伝子1555A>Gによる平衡障害と前庭水管拡大症を伴うSLC26A4,SIX1,ATP6V1B1変異例による平衡障害について紹介する。
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