- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
画像診断の狙い
メトトレキサート(Methotrexate:MTX)は,葉酸代謝拮抗薬に分類され,悪性腫瘍や関節リウマチ(RA)に対する治療薬である。その使用に伴う副作用としては,間質性肺炎,肝障害,骨髄抑制,口内炎・消化性潰瘍・消化管出血などが挙げられるが,MTX投与中に発生する悪性リンパ腫については1991年にEllmanらが初めて報告1)して以降,MTX関連増殖性疾患(MTX-related lymphoproliferative disorders:MTX-LPD)として数多く報告されている。2008年のリンパ組織の腫瘍に関するWHO分類第4版2)においても,MTXや他の免疫抑制薬によると考えられるLPDは「その他の医原性免疫不全症関連リンパ増殖性疾患」として新たに分類されている。この免疫不全状態はRA自体によるものと,MTX治療によって引き起こされた病態の2段階が考えられるが,MTXを中止すると悪性リンパ腫が化学療法なしに縮小傾向を示す例があること3)から,MTXによる免疫不全状態の関与が強く示唆されている。
免疫抑制薬は,全身性エリテマトーデス,皮膚筋炎,シェーグレン症候群を主とする膠原病や,尋常性乾癬,天痕瘡,類天骨瘡を主とする自己免疫疾患にも使用されている。なかでもRAについては,日本において特に40~50歳の女性の罹患率が高く,60~70万人が罹患していると推定されている。近年では疾患病態の解明により,MTXなどの強力な疾患修飾抗リウマチ薬(DMARDs)が早期導入されるようになり,さらに,免疫調整作用のある抗TNFα抗体などの生物学的製剤も次々に開発され,RA以外にも,クローン病,べーチェット病といった自己免疫性疾患の治療に広く用いられている。今後,われわれが日常診療において,免疫抑制薬あるいは免疫抑制を起こしうる生物学的製剤に遭遇する機会が増えることが予想される。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.